2013年10月15日 12:40
視察研修等報告
1 実施日 平成25年 7月 9日 から 7月12日
2 参加者名 大西 克美、太田 龍三、中村 浩、原田勝二
3 研修・視察先及び事項
宮城県南三陸町 震災による被害状況・防災対策・教訓ついて
宮城県塩釜市 震災による被害状況・復興状況・教訓について
福島県郡山市 震災に対する市議会の対応・復興基本方針に基づいた復興の状況について
4 視察概要
【南三陸町】10月10日(水)13時00分~15時00分まで
○震災による被害状況・防災対策・教訓ついて
東日本大震災の規模及び被害状況について
東北地方太平洋沖地震
・発生日時 平成23年3月11日(金) 午後2時46分頃
・震源及び規模(推定)
三陸沖(北緯38.1度、東経142.9度、牡鹿半島の東南東130km付近)
深さ 約24km、マグニチュード9.0
断層の大きさ:長さ約450km、幅約200km
断層のすべり量:最大約20~30m程度
・震度
震度7 宮城県北部
震度6弱 南三陸町
・津波
3月11日(金) 午後2時49分 大津波警報発表
3月13日(日) 午後5時58分 津波注意報全て解除
被害状況(南三陸町)
※平成25年 3月31日現在
・人的被害(南三陸警察署発表)
死者 566名
行方不明者(届出数) 223名
・建築物被害(概数)
戸倉地区 526戸(り災率約75%)
志津川地区 2,048戸(り災率約75%)
入谷地区 8戸(り災率約 2%)
歌津地区 729戸(り災率約55%)
計 3,311戸(り災率約62%)
・避難者(平成23年4月3日時点:8,719名)
被災した公共施設等
・志津川地区
① 政第1庁舎、行政第2庁舎、防災対策庁舎 ②志津川保健センター ③南三陸町ボラン
ティアセンター ④南三陸町ディサービスセンター ⑤志津川公民館 ⑥南三陸町図書館 ⑦荒砥保育園 ⑧海浜高度利用施設 ⑨公立志津川病院 ⑩南三陸町地方卸売市場 ⑪南三陸町上下水道事業所 ⑫南三陸町街なか交流館 ⑬袖浜地区漁業集落排水処理施設 ⑭本浜公園 ⑮松原公園 ⑯上の山緑地 ⑰せせらぎ公園
・戸倉地区
①戸倉小学校 ②戸倉中学校 ③戸倉保育所 ④戸倉公民館 ⑤自然環境活用センター
⑥波伝谷地区漁業集落排水処理施設
・歌津地区
① 津総合支所 ②歌津保健センター ③名足小学校 ④南三陸町水産振興センター
震災復興
南三陸町震災復興計画を策定(平成23年12月26日策定、平成24年4月9日更新)
町では、平成23年12月26日、南三陸町震災復興計画を策定。
この計画は、「南三陸町震災復興計画策定会議」における有識者委員からの専門的助言のほか、「南三陸町震災復興町民会議」や「地域懇談会」を開催し、できる限り町民の想いを反映させて策定。
復興への道のりは、非常に長く、険しいと思われますが、町民が一丸となって、「南三陸町に住んでよかった」と思えるまちづくりを目指して、全力で取り組んでまいりますとのこと。
被災市街地復興推進地域
災害に強い健全で良好な市街地形成を図るため、志津川地区の一部を平成23年11月11日に被災市街地復興推進地域に指定。
被災市街地復興推進地域とは
被災市街地復興特別措置法に基づき、大規模な火災、震災その他の災害を受けた市街地について、当該区域の緊急かつ健全な復興を図るため、土地区画整理事業、市街地再開発事業等の施行、道路、公園等の公共の用に供する施設の整備、市街地の復興に必要な住宅の供給の措置等を講ずる地域として都市計画に定められた地域。
南三陸町災害危険区域設定条例の一部を改正する条例(最終改正:平成25年6月25日)
町では、建築基準法(昭和25年法律第201号)第39条の規定に基づき、津波等による危険の著しい区域を災害危険区域に指定するとともに、当該区域内における建築物の建築を禁止。
建築を禁止している建築物
・ 居住の用に供する建築物(工事を施工するためその工事期間中必要となる仮設建築物を除く。)
・ 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第19条第1項に規定する児童福祉施設等
・ 旅館業法(昭和23年法律第138号)第2条第1項に規定する旅館業の営業に供する施設
・ 医療法(昭和23年法律第205号)第1条の5第1項に規定する病院及び同条第2項に規定する診療所
(患者を入院させるための施設を有するものに限る。)
・ 宿泊設備を有する研修施設
※1 既存住宅の修繕は、可能。
※2 事務所、店舗、倉庫、作業場は、建築することができる。
「南三陸町復興整備計画」及び「南三陸町復興整備協議会」について
東日本大震災復興特別区域法(平成23年法律第122号。以下「復興特区法」という。)関連
復興整備計画
復興整備計画は、「復興特区制度」のひとつである、「土地利用再編のための特例」を受けるための計画であり、復興のためのまちづくり・地域づくりに必要となる「市街地開発」や「集団移転促進」等の13項目の対象事業(復興整備事業)のうち、町が実施する予定の事業を掲載し、住民の皆様のご意見や「復興整備協議会」の承認を得ながら、町が中心となって作成していくもの。
復興整備協議会で承認を得て復興整備計画を公表することで、掲載した復興整備事業に関係する特例措置(個別法の手続の一元化、許可基準の緩和、事業制度の創設・拡充等)が適用され、復興整備事業をより円滑かつ迅速に行うことが可能。
(津波で骨組みを残して破壊された南三陸町防災合同庁舎)
(志津川中学校からみた写真。破壊された南三陸町防災合同庁舎小さく見える。)
視察概要
【塩竈市】7月11日(木)10時00分~12時00分まで(塩竈市庁舎にて概要説明)
○震災による被害状況・復興状況・教訓について
塩竈市の被災状況について
1.人的被害 (平成25年4月1日現在)
死者 47名 災害関連死 18名
2.津波浸水状況
○本土地区では、北浜、港町、藤倉、貞山通、海岸通、新富町、宮町などで浸水により家
屋流失や全壊など甚大な被害。
○浦戸地区は全島で居住地区が浸水し、家屋の半数が流失や全壊。
3.住家などの被害状況 (平成25年4月1日現在)
地震及び津波によって13,333件(住家・非住家)が被災
4.避難所の運営状況
○3月11日 計39箇所 8,047人
○3月12日 計46箇所 8,771人
○6月 6日 計 4箇所 121人
5.仮設住宅の状況
○仮設住宅建設等の経過
*伊保石ステーション
第1期 60戸、4月28日入居開始。
第2期 48戸、5月13日入居開始。
第3期 12戸、6月13日入居開始。
第4期 15戸、6月下旬入居開始。
*塩釜ガス体育館駐車場
23戸、6月11日入居開始。
*浦戸地区
桂島21戸、野々島15戸、寒風沢12戸、6月下旬入居開始。
6.被害額の状況(平成24年11月1日現在)
約1216億円 ・農林水産関係278億円 ・建築物611億円
・交通基盤関係167億円
※復興関係の質問は、担当者が不在ということで控えていただきたいとの事。
(港町地区の堤防)
(港町地区の仮設店舗)
視察概要
【郡山市】1月23日(水)10時00分~11時30分まで
(郡山市庁舎にて概要説明)
○震災に対する市議会の対応・復興基本方針に基づいた復興の状況について
原子力災害の状況
■原子力発電所事故の経過
年月日 経 過
平成23年
3月11日
3月12日
3月13日
3月14日
3月15日
政府が原子力災害対策特措法に基づき原子力緊急事態を宣言
東京電力福島第一原子力発電所1号機で水素爆発
同3号機の燃料棒が露出
同3号機で水素爆発
同2号機で燃料棒が全露出
同2号機格納容器の圧力抑制プール付近で爆発
同4号機で水素爆発
環境放射能測定値が国の基準を超えた施設(平成23 年)
施設 施設数施設名 測定値(μ㏜/h)
小学校 1校薫小学校4.5(3.8)
中学校3校
郡山第一中学校4.5(3.7)
郡山第二中学校3.8(2.7)
郡山第三中学校4.4(3.6)
幼稚園 1園私立
福島県災害対策本部が4月5日~7日測定。( )内数字は文部科学省が4月14日測定
⇒中学校3校は、国の再測定により基準値*を下回っていることを確認。
その後の表土除去により、放射線量低減。
施設 施設数 施設名 測定値(μ㏜/h)
都市公園 1か所 荒池西公園 利用制限:6/14~10/7 4.4
農村公園 1か所 荒池農村公園 利用制限:6/14~10/7 3.9
郡山市測定⇒その後の表土除去により、放射線量低減。
子どもたちを守るために~いちはやく除染~
小中学校、保育所等の除染
経 緯
・平成23年4月
・平成24年4月
・平成24年11月27日~12日
他に先駆けて小中学校校庭及び保育所所庭等の表土除去を開始。
子どもたちの更なる安全・安心な教育環境を確保するため、小中学校のプール及びプールサイド並びに校舎屋上や校地内の外周部等について除染を実施。
また、保育所等においても同様の除染を実施。
現在、全ての小中学校及び保育所等で0.5μ㏜/hを下回る。
(地上高は小学校50㎝、中学校1m)
スポーツ広場・観光施設等の除染
【平成23年度】
・除染実施基準:地上から50㎝で1.0μ㏜/h以上の広場
開成山野球場
スポーツ広場(安積・三穂田・喜久田・日和田)
開成山陸上競技場補助競技場
【平成24年度】
郡山カルチャーパーク、開成山水泳場、開成山陸上競技場、大島東公園コミュニティープール(プール及びプールサイド等)、総合体育館、開成山弓道場、郡山庭球場、西部体育館、西部サッカー場、郡山相撲場、日和田野球場、石筵ふれあい牧場ふれあい広場
公園等の除染
【平成23年度】
除染実施基準:地上から50㎝で1.0μ㏜/h以上の公園等
種 別 除染を実施した主な公園実施箇所数
都市公園開成山公園、荒池西公園ほか 178公園
ちびっ子広場菜根三丁目ちびっ子広場ほか 252広場
農村公園荒池農村公園ほか 3公園
市営住宅団地内公園等鶴見坦団地公園ほか 25か所
合 計 458か所
【平成24年度以降】
除染実施基準:地上から50cmで1.0μ㏜/h未満の公園等
種 別 平成24年度(発注) 平成25年度以降(計画)
道路(市道) 2.6㎞ 3079.3㎞
都市公園 153公園 159公園
ちびっ子広場 32広場 248広場
農村公園 3公園 -
森林公園 2公園 -
市営住宅団地内公園等 12か所 -
合 計 197か所 407か所
郡山市ふるさと再生除染実施計画
基本方針
・市をはじめ、地域との協働により取り組む。
・除染費用は、全額を国、東京電力に求償する。
市民との協働による除染の促進
・郡山市線量低減化活動支援事業の実施
・サーベイメータ、電子式個人積算線量計の貸出し
・個人住宅等の空間線量の測定
・相談体制の充実
・除染に係る土のう袋等の資材の配布、高圧洗浄機等機材の貸与
除染に伴い発生した土壌等の保管
国の「中間貯蔵施設」に搬入するまでの間、除去土壌等の一時保管は次のとおり。
・道路・側溝等→ その地域にあるスポーツ広場・公園等の市有地
・住宅等→ 宅地内
線量低減化活動支援事業
子どもたちが過ごす時間が多い場所(通学路等)における放射線量の低減を図るため町内会等が実施する除染作業に係る経費の支援を行う。
【平成23年度】
・団体数:622団体
【平成24年度】
・団体数:264団体
農地の除染
農地等除染事業
「郡山市ふるさと再生除染実施計画」に基づき、市内で生産される米、果実等の農畜産物のモニタリング等において、放射性セシウムが基準値を超えないことを目指し、農地等の除染を実施。
カリウム肥料購入費用の助成
農家の方が農作物の放射性セシウム吸収を抑制する効果があるカリウム肥料を購
入する費用を助成。
【平成23年度】
・事業費:5,452万円
・農地:約2,525ha
【平成24年度】
平成24年産米実績
・事業費:8,162万1千円
・農地:約4,252ha
平成25年産米対策
・事業費:1億4,251 万6千円
・農地:約8,300ha
・対象肥料:基肥に施用する塩化カリ
・補助率:10分の10
平成25年産飼料作物等対策
・事業費:963万9千円
・牧草地等:約264ha
・対象肥料:塩化カリ
・補助率:10分の10
農地土壌放射性物質濃度分布マップの作製
農地の除染対策や、安全な農作物の生産対策に活用するため、本市や国、県が調査している農地土壌の放射性物質測定データを使用し、本市独自の詳細な放射性物質濃度分布マップを作製。
・農地土壌放射性物質測定件数1,490件(平成25年5月10日現在)
農業系汚染廃棄物処理事業
放射性物質の影響により利用できない農業系汚染廃棄物は、営農に支障がないよう一時仮置き等を実施。
放射線量モニタリングと食の安全
身の回りの放射線量測定・測定機器の貸出し
生活空間における放射線量や積算被ばく量を測定し、市民の皆様の不安を解消するため、次の事業を実施。
サーベイメータの配備
・平成23年10月28日から、各町内会へ1台ずつ配備
・行政センター及び方部町内会連合会を通して市内全658町内会に配付完了
個人宅の放射線量測定
・平成24年1月11日から受付開始
・実施済み:2,032件(平成25年4月30日現在)
個人へのサーベイメータ貸出し
・平成24年1月23日から受付開始
・貸出し:5,980件(平成25年4月30日現在)
個人への電子式積算線量計貸出し
・平成24年1月25日から受付開始
・貸出し:3,969件(平成25年4月30日現在)
妊婦への電子式積算線量計貸出し
・平成24年6月1日から貸出し開始
・貸出し:701件(平成25年4月30日現在)
食品の安全確保
一般食品等の放射性物質測定
・平成24年3月5日から受付開始
・測定実績:34,610件(平成25年4月30日現在)
保健所における流通加工食品の放射性物質検査
保健所における飲用井戸水等の放射性物質検査
保健所における食肉の放射性物質検査
出荷用の農林水産物等の放射性物質測定
販売用の農産物等の放射性物質測定
小・中学校の給食検査
保育所等の給食検査
米の全量全袋検査
放射線からの健康管理
積算線量計による積算被ばく量測定
積算線量計による外部被ばく量の測定
【平成23年度】
・対象者数
バッジ式積算線量計
①小・中学生約28,600人
②未就学児・妊婦20,665人
計 約49,265人
電子式積算線量計
①市内高等学校等への通学者約12,000人
②15歳から18歳までの市外高等学校等への通学者約2,000人
③15歳から18歳までの未就学者約400人
④市内在住の19歳約3,600人
⑤20歳以上の市民約6,500人
計 約24,500人
【平成24年度】
・対象者数
バッジ式積算線量計
①小・中学生約28,000人
②未就学児約18,000人
計 約46,000人
電子式積算線量計
①市内高等学校等への通学者約12,000人
②市外高等学校等への通学者約2,000人
③15歳から18歳までの未就学者約400人
④市内在住の19歳約3,600人
⑤20歳以上の市民約6,500人
⑥妊婦 約3,700人
計 約28,200人
所見
東日本大震災の教訓として、「想定外を避ける」ということ。
東日本大震災は、予め想定していたチリ地震の想定であったため、全く違う巨大なものであった。
よって、「あらゆる可能性を想定した最大クラスの地震・津波」を想定しなければならないということであります。
被害想定の位置付けとしてまず、有効な対策を確立するためには、その前提として「被害想定」が必須であります。
次に被害想定については、厳しい数字であっても、「正しく恐れてもらう」ために、市民にありのままを知ってもらうことが大切であります。
そして対策の考え方として、まずは、厳しい数字であっても正面から受け止め、被害想定を前提として、一歩一歩着実に対策を進めることが基本であります。
そして、対策の具体化に当たっては、項目ごとに目標、時期等を明示する計画や予定表を策定することが重要であります。
以上をもって、鈴鹿市の防災・減災対策に反映させます。
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